Heil To The Thief  RADIOHEAD

Heil To The Thief

 大まかの出来具合ですが前回の“KID・A”と“AMNESIAC”の繰り返しのような作品。 よほど、トム・E・ヨークが好んだのだろうか。RADIOHEADはこれまで同じような音楽を してこなかったのですが、このアルバムでは前回とほとんど、変わらない内容の音楽と なっています。そろそろ、創造力が尽きてきたのでしょうか。

 確かに完成度はかなりのものですが何かが足りない気がします。RADIOHEADをず っと聴いている人にとっては前にRADIOHEADの曲で聴いたような曲が収録されてい ると感じる曲がたくさん入っているように感じるのではないでしょうか。もう5作目になる のですから。他のバンドなら同じような音楽をとっくにしているのですから。

 何枚、アルバムを出してもさほど、変わらないのが普通のバンドですし、ほとんどです。 また、その同じような音楽をバンドに期待したりします。このアルバムではシングルのカ ップリングの曲くらいの曲が並んでいるように思えるのですが、トム・E・ヨークが手抜き をし出したとすら思ってしまうくらいです。

 この作品が発表された夏にはSUMMER・SONICに出場していたRADIOHEAD。 このアルバムの曲をライブでしたのですから盛り上がったはずです。このアルバムを知 った人はRADIOHEADにとりこになるくらいのノリの良い曲ばかりのアルバム。作品の クオリティーは他のバンドに比べるとかなり高いものになっています。

 聴くすべての人を飲みんでしまう力があるのがRADIOHEADです。また、前回のアル バムからデジタル音が目立ち、最初のディストーションの効いたギターが見当たらなくな ってしまっています。この作品はアンプラグドと言っていいような作品です。一般的に受 け入れられやすい音楽の作品だと思います。

曲 Heil To The Thief



1.2+2=5

RADIOHEADの過去に聴いたことのある曲です。普通の出来の曲ではないでしょうか。悪くはないです。

2.Sit down.Stand up.

やはり、雑音。うめき声を何層にも重なる。そして、暗さの混じった音を無理矢理、テンションを上げれるように作った音楽。 そして、盛り上がったと思うと、これまでずっとRADIOHEADの主流になっているデジタル音がこれもまた、はっきり言って雑音。 しかも、合成繊維が混じって有害物質を発生しながら撒き散らされている感じの曲です。

3.Sail to the Moon.

RADIOHEADばかり聴いているとこんな曲は暗い曲で終わらせたくなるような曲。しかし、ちゃんと聴いてみれば けっこういける曲だと気付く曲。ピアノを使ったゆっくりとしたかなりスローテンポな曲。

4.Backdrifts

トム・E・ヨークの歌を前面に出して、デジタル加工された曲。“KID・A”では雑音の歌しかなかったのですが、 この作品ではそれなりに感情表現が入っているように思えます。そして、前回より洗練されたように感じる曲の仕上がりです。

5.Go to sleep.

“OK・COMPUTER”までの感じの非常にわかりやすい曲です。ディストーションが削られ無駄のない音楽。 ソフトロックです。または(ネオ)アコースティックに近い音の音楽。

6.Where I End and You begin.

やはりRADIOHEADは健在と思わせる曲。とてもかっこ良い曲です。

7.We suck Young Blood.

暗い感じで同じことを繰り返しているような曲。そして、特にサビなどないまま、終わっている曲です。 RADIOHEADはこの手の曲はわりと多いです。

8.The Gloaming.

デジタル音が前面に出た曲。そして、ずっと同じように続く打ち込みのような音に乗せて、 トム・E・ヨークが歌うのですが、まるで呪文のような曲
です。

9.There there.

この曲はとても有名な曲だと思います。エドとジョニーが太鼓のようなものを叩いているのがとても印象的な曲。 トム・E・ヨークのギターは大したギターを弾いているわけではないのですが、全然違うんですよね。入るのと入らないのでは。

10.I will.

エレキギター、1本の弾き語りのような曲です。こんな曲はアコースティックギターでするのが通例なんですがエレキギターです。 確かにちょっと違った雰囲気は出ています。

11.A Punchup at a Wedding

ピアノとベースが目立った曲です。そして、ドラムはあるとして、ギターがほとんど聴こえてこない曲。少しは入ってきます。

12.Myxomatosis.

久々にひずみを聴いた感じです。トム・E・ヨークのボーカルはいつも一定なので変化があるとすれば、楽器の音の出し方などに なってきます。“KID・A”よりずっとそんな風になっています。ギターではこの音は出ないはずのですが・・・

13.Scatterbrain.

どこかで聴いたような感じの曲ですが・・・特に変化もしない曲。いつもRADIOHEADの最期から 2番目の曲はこんな感じの曲が多かったので、いつもの感じといえばいつもの感じです。

14.A Wolf at the Door.

ラップのような歌の曲です。歌のメロディーをけっこう考えて作ったような感じなので良い曲です。 最期には良い曲で終わるとまた聴きたいと感じるかもしれません。